中古住宅購入におけるホームインスペクションの活用について
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  1. 中古住宅購入にはホームインスペクションを活用しよう

中古住宅購入にはホームインスペクションを活用しよう

ホームインスペクションとはどんなもの?

今まさに中古住宅の購入を検討中という方の中で、「ホームインスペクション」を実施されたケースはどれくらいあるでしょうか。

ホームインスペクションは「住宅診断」とも呼ばれ、住宅の専門家である建築士などの方が第三者性を維持して住宅の劣化状況、欠陥や不具合の有無を確認することを指します。この診断を行う方を住宅診断士、ホームインスペクターと呼びます。診断は主に目視で行われ、屋根や外壁、室内、小屋裏、床下などが対象となります。床下を調べるための点検口や床下収納庫がない場合は1.5万円~3万円程度で設置することもできます。

まだまだ日本では実施されることの少ないホームインスペクションですが、実はアメリカでは州によっては70%~90%という高い割合でホームインスペクションが行われていますし、イギリスやオーストラリアでも住宅購入時には実施するのが一般的になっています。

日本と欧米のホームインスペクションには歴史的に大きな差があり、近年日本でもホームインスペクションが普及してきてはいるものの、中古住宅売買においてはまだ一部の買主が自己負担で行っている状況です。

通常ホームインスペクションは3時間ほどで行われ、5~7万円の費用が必要となります。ただしホームインスペクションはあくまで目視による診断なので、言い換えれば人でいう「健康診断」レベルです。機器を使用して精密検査をするわけではないですし、壁や床を破壊して内部を調査することもありません。異常が見つかればさらに二次診断へつなげていくこともあるので、手軽に行える住宅診断と捉えておくと良いと思います。

ホームインスペクションはなぜ必要?リノベーションとの関係

ホームインスペクションは新築住宅と中古住宅どちらでも行われますが、中古住宅の場合は特に実施で得られるメリットが多くあります。中古住宅は近年、新築住宅よりも低価格で購入できることや、リノベーションで希望の住宅にしやすいことから人気が高まっています。新築住宅で理想を全て叶えようとすると予算を大幅にオーバーし、デザインや設備に妥協せざるをえなくなってしまいがちです。そこで中古住宅を購入してリノベーションを行い、コストを抑えて理想の住まいを手に入れようという方が増えているのです。

しかしここで問題になるのが中古住宅だからこそ抱える不安ですよね。築年数や外壁の傷み、耐震性能など、「この家は長く安心して住めるのか?」といった部分は素人目ではわかりにくいものです。耐震性能については耐震基準が改正された昭和56年以降に建てられたかどうかである程度判断できますが、基礎や土台の状態は専門化でなければ診断は難しいです。

建物は以下にわけて考えられます。重要なのは「スケルトン」の部分です。

スケルトン 柱・梁・床などの構造躯体
インフィル 間仕切り壁・仕上げ材・その他設備

基礎や土台、スケルトンが傷んでいないか判断するにはホームインスペクションを利用することをおすすめします。中古住宅を購入する際に多くの方が心配するシロアリについてもホームインスペクターに床下や土台、基礎の診断を行ってもらうことで被害に遭っているか知ることができます。

ホームインスペクションによる買主・売主・仲介会社のメリット

ホームインスペクションは買主・売主・仲介会社それぞれにメリットがあります。

買主がホームインスペクションを依頼する最も大きな理由は欠陥住宅の購入を避けることです。他にも補修が必要な箇所や今後かかるであろう費用を把握できたり、下で書いている売主が認知していなかった瑕疵(かし)を発見し、対応を求めることも可能です。

売主や仲介会社にとっても、ホームインスペクションを事前に行っておけば売却後のトラブルを未然に防ぐことができますし、第三者の目から見た住宅のコンディションを買主に伝えることでスムーズな取引も見込めます。

売主側にとって最も大きいのは「隠れた瑕疵」を防止できる点です。瑕疵とは通常の生活に支障をきたすような欠陥のことで、雨漏りやシロアリなどがこれにあたります。「瑕疵担保責任とは?」で詳しく説明していますが、住宅の売却・購入後に購入時点で明らかになっていなかった瑕疵=隠れた瑕疵が発見された場合、売主側は買主に対して補修費用の負担義務などを負う責任が生じるのです。

ホームインスペクションは隠れた瑕疵を事前に見つけ、売主と買主で情報を共有するために有用といえます。もし契約中や契約後に欠陥が明らかになればトラブルになる可能性も高いので、売主にとっても買主にとってもホームインスペクションを実施しておくことで得られる安心感は大きいです。ただし上でも触れたように、ホームインスペクションは目視で診断を行います。壁の内部に深刻な欠損があった場合などは発見が困難なので、過信しすぎないようにしましょう。

中古住宅でホームインスペクションを行うタイミングとしては、物件見学をして売買契約を交わす前をおすすめします。なぜなら契約前であればホームインスペクションで欠陥が見つかったとしても法的義務がないため、買主は負担なく契約解除することができるのです。もし契約後に欠陥が見つかり購入を見送りたいとなった場合、瑕疵担保責任等に該当しない限り手付金を放棄しなければならなくなります。

ホームインスペクション会社・ホームインスペクターの選び方

それでは、どのようなホームインスペクション会社やホームインスペクターを選べばいいのでしょうか。

まず住宅を見るホームインスペクターが「公認ホームインスペクター(住宅診断士)」の資格を持っていることを確認しましょう。その上でこれまでの実績、得意分野が依頼したい住宅とマッチしていることが大切です。住宅の工法は多岐にわたるので、ホームインスペクターもそれぞれ精通している工法が異なります。依頼者が住宅とホームインスペクターの相性を見極めることも重要なのです。

また、専門用語が多くなる住宅の説明において、素人でもわかりやく説明してくれなければ意味がありません。資格を持っているホームインスペクターは「日本ホームインスペクターズ協会」のホームページから条件別に検索することができます。ホームインスペクター以外の資格や対応地域、自己紹介のコメント、所属している会社まで閲覧可能なので、希望に合わせたホームインスペクターを探すために活用しましょう。

第三者性と中立性のあるホームインスペクターに依頼しよう

それでは、どのようなホームインスペクション会社やホームインスペクターを選べばいいのでしょうか。

ホームインスペクションで最も重要なのが中立性と第三者性です。ホームインスペクターの報告はあくまで住宅の状態を客観的に見て、補修費用はどれくらい必要か、メンテナンスがされているか等の情報提供であり、購入すべきか見送るべきかはホームインスペクターの情報を判断材料とした買主が行うことです。

国土交通省が策定した「既存住宅インスペクション・ガイドライン」にも、中立性の観点では以下のような記載があります。

【客観性・中立性の確保】
 ・客観的、誠実に取り組み、公正なインスペクション業務の実施に努めること。
 ・検査結果の報告に当たっては客観的な報告に努め、事実と相違する内容の報告を行わないこと。また、リフォーム工事費の目安等に関する情報を提供する場合には、検査結果の報告書とは別であることを明らかにすること。
 ・宅地建物取引業又は建設業若しくはリフォーム業を営んでいる場合は、その旨を明らかにすること。
 ・インスペクション業務を受託しようとする住宅において、媒介業務やリフォーム工事を受託している又は受託しようとしている場合は、依頼主に対してその旨を明らかにすること。
 ・対象住宅の売主、媒介する宅地建物取引業者又はリフォーム工事を請け負う建設業者等との資本関係がある場合は、依頼主に対してその旨を明らかにすること。
 ・自らが売主となる住宅についてはインスペクション業務を実施しないこと。
 ・複数の者から同時に同一の住宅についてインスペクション業務を受託する場合には依頼主の承諾を得ることとし、依頼主の承諾なく依頼主以外の者からインスペクション業務に係る報酬を受け取らないこと。
 ・住宅の流通、リフォーム等に関わる事業者から、インスペクション業務の実施に関し、謝礼等の金銭的利益の提供や中立性を損なうおそれのある便宜的供与を受けないこと。
 ・インスペクション業務の実施に関し、依頼主の紹介や依頼主への推薦等を受けたことに対する謝礼等を提供しないこと。
 ・住宅の売買契約やリフォーム工事の請負契約を締結しない旨の意思を表示した者に対して、これらの契約の締結について勧誘しないこと。

特に重要な内容をまとめると、ホームインスペクション会社やホームインスペクターは依頼者以外から報酬を受け取ったり、事業者から謝礼を受け取ってはいけない、ということです。これはホームインスペクションの第三者性・中立性を保つために欠かせないポイントです。

せっかくホームインスペクターに購入したい住宅を見てもらっても、もしホームインスペクターと不動産会社の間に癒着があれば、住宅を売りつけるために欠陥を隠されてしまう可能性があります。リフォーム業者などの都合の良いように報告して仕事を得ようとする、いわゆる「お手盛り」も避けなければいけません。ホームインスペクションでこのような失敗をしないためにも、無料で実施していたり、料金が異常に安いホームインスペクション会社は避け、実績があり信頼の置けるところに依頼したいですね。

ちなみに中古住宅の場合、検査と保険がセットになった「中古住宅瑕疵保険」がありますが、検査内容はホームインスペクションとは異なります。中古住宅瑕疵保険の検査は保険期間中に瑕疵が発生しないかどうかを基準としますが、保険期間が過ぎた後については考慮されていません。中古住宅瑕疵保険については「既存住宅売買瑕疵保険で中古住宅瑕疵対策を!」で詳しく説明しています。

ホームインスペクションは保険が適用されるかどうかの判断ではなく、住宅購入後にどの程度の費用が必要になりそうか、何年くらい住めるか、といった購入者視点でのアドバイスを受けることができます。中古住宅購入を考えている方にとって貴重な意見を得ることができますし、長年住んだ家の健康診断として利用する方もいるので、有効に活用していきたいですね。

bika

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