中古住宅購入前に知っておきたい「瑕疵」と「瑕疵担保責任」について
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  1. 中古住宅購入前に知っておきたい「瑕疵」と「瑕疵担保責任」

中古住宅購入前に知っておきたい「瑕疵」と「瑕疵担保責任」

瑕疵と瑕疵担保責任とは?

住宅を購入する際、忘れてはならないのが「瑕疵(かし)」です。初めて住宅の購入を考えている方にとっては聞き慣れない言葉だと思いますが、瑕疵とは簡単にいうと住宅の欠陥のことです。特に通常の生活に支障をきたすような欠陥を瑕疵と呼びます。わかりやすいものだと雨漏りやシロアリ被害がある、耐震性能を満たしていない状態などが瑕疵にあたります。

中古住宅の場合、購入後に瑕疵が発見されて売主とトラブルになるケースもあります。私も中古住宅購入を検討していたとき、ある魅力的な物件に巡り会ったのですが、見学した際に一カ所だけ床がへこみ、柔らかくなっているところがあったのです。売主さんに直接伝えましたが取り合ってもらえず、結局購入してから数ヶ月、もしくは何年も経ってからシロアリ被害を受けていることがわかったら・・・と考えて購入を見送りました。

こんなケースで重要になるのが「瑕疵担保責任」です。瑕疵担保責任とは「隠れた瑕疵」が見つかった場合に売主が買主に対して賠償責任や契約解除、補修請求に応じる責任を負うことです。隠れた瑕疵というのは購入時点で明らかになっていない、通常の注意を払っていても発見できない瑕疵のことをいいます。買主が購入時点で知らされておらず、住宅に住み始めてから見つかった瑕疵などが該当します。これは売主が知らなかった場合でも責任がある「無過失責任」です。

もし売主が知っているのに買主に教えなかった瑕疵があれば、瑕疵担保責任が過ぎた後や免責の場合であっても民法の原則通りの責任を負うことになります。瑕疵担保責任の有無は売買契約書で定めるので、売買契約書の項目を念入りに確認しておくことが欠かせません。また、売買契約書に瑕疵担保責任について定めが書いていなければ、この場合も民法の規定に従います。民法をはじめとした各法律の規定については下で説明しています。

なお、売主の不動産業者が倒産するなどで瑕疵担保責任を履行できない状況を回避するため、売主には保険への加入や保証金の供託が義務付けられています。

「隠れた瑕疵」が見つかったら?民法・宅建業法・品確法の違い

隠れた瑕疵を発見した場合、売主に瑕疵を報告して欠陥を修復してもらうことが一般的です。発見された欠陥が重大で住むこともままならないのであれば買主から売主へ契約の解除を求めることもできます。責任対象となるものは雨漏りやシロアリのほか、構造上主要な部分、給排水設備の不良などです。

ただ、瑕疵担保責任の規定は売主が個人なのか宅建業者なのかによって変化することが法律で定められていますし、ほかにも期間や適用範囲に様々な違いがあります。法律の規定による瑕疵担保責任は以下の3つにわかれます。

民法
宅建業法(宅地建物取引業法)
品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)
民法 宅建業法 品確法
売主 個人 宅建業者 宅建業者・企業・個人
期間 瑕疵発見から1年以内
(10年経過で消失)
最低2年以上 引渡しから10年
(20年まで延長可能)
適用範囲 新築住宅
中古住宅
新築住宅
中古住宅
新築住宅のみ
対象 隠れた瑕疵 隠れた瑕疵 隠れた瑕疵
基本構造部分のみ

大まかな違いは上の表でまとめましたが、細かな規定は複雑になっています。

まず売主が個人の場合は民法、宅建業者の場合は宅建業法が適用されるということが大前提です。なぜ売主が個人か宅建業者かで内容が違うのかというと、民法では「契約自由の原則」があり、当事者間による合意さえあれば期間や規定、金額等についても自由に取り決めることができます。これでは専門知識を持たない買主が宅建業者を相手に契約を結ぶとき、買主に不利になるような特約が結ばれてしまうおそれがあるため、民法は個人が売主の場合に限られているのです。

民法

民法によって瑕疵担保責任を取り決める場合、先ほど触れたように契約自由の原則があります。そのため、民法では瑕疵担保責任を追及できるのは瑕疵を発見してから1年以内となっていますが、当事者間の合意さえあれば期間を短くしたり免責とすることもできます。また、民法の債権消滅時効により、住宅の引渡しから10年経過すると瑕疵担保責任は問えなくなります。

宅建業法(宅地建物取引業法)

宅建業法では、宅建業者は新築住宅・中古住宅問わず最低2年間瑕疵担保責任を負うことが義務づけられています。原則として民法の規定よりも買主に不利になるような特約はつけることができません。ただし買主も宅建業者の場合は自由に特約をつけることが認められます。

しかし、柱や梁など住宅の基本構造部分に関わる瑕疵は2年では見つけることが困難であることも多く、基本構造部分についての保証のために品確法が施行されています。

品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)

品確法は基本構造部分(基礎、土台、床、柱、壁、斜め材、小屋組、横架材、屋根、及び雨水の浸入を防止する部分)について引渡しから10年間瑕疵担保責任を負うというものです。期間は20年まで延長することが可能で、短縮はできなくなっています。ただし、自然劣化等によって生じた不具合については保証されず、瑕疵ではない=通常の点検で発見できるような欠陥の場合も保証の対象外となってしまいます。さらに品確法が適用されるのは平成12年4月1日以降に締結された物件のみとなります。

そして、中古住宅購入の際に最も注意しなければならないのは品確法は新築住宅にしか適用されないということです。新築住宅の場合は宅建業法の最低期間2年が過ぎても基本構造部分においては品確法が引き続き適用されますが、中古住宅の購入では品確法が適用されません。

※民法の改正について
平成27年3月31日、民法改正案が国会に提出されました。まだ施行はされていませんが、平成30年~平成31年頃に改正された民法が施行されるのではないかといわれています。平成26年8月26日に決定された「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案」によると、改正後の民法では隠れた瑕疵という単語がなくなったり、表現が瑕疵から「契約不適合」になったりと、大きな変化が起こります。中古住宅購入のために必要な知識も変わっていくので柔軟に対応しなければなりません。

中古住宅購入前に「ホームインスペクション」を依頼しよう

瑕疵担保責任は買主を守ってくれる取り決めではありますが、中古住宅の場合は瑕疵担保責任を問うことができないケースも多いです。

中古住宅の売買では築年数が古いものや再建築不可といった物件は瑕疵担保責任を負わない「瑕疵担保責任免責」という条件がつけられていたり、責任期間が1ヶ月~3ヶ月程度まで短縮されていることがほとんどです。もし瑕疵担保責任免責となっていたら、瑕疵があったとしても売主に対して瑕疵担保責任を追及することはできなくなってしまいますし、瑕疵担保責任の期間が過ぎていた場合も同様です。

私が購入を考えていた中古住宅はまさにこのパターンで、売買契約書で瑕疵担保責任は免責とされていました。1ヶ月だけでも、と交渉はしたものの瑕疵担保責任を取り付けることができず、売主さんとの関係が悪くなってしまったのです。

そんな私が後になって知ったのが「ホームインスペクション」です。「中古住宅購入にはホームインスペクションを活用しよう」でも書いたように、中古住宅の購入を検討する際にはホームインスペクションを利用すれば隠れた瑕疵の発見に役立ちます。ホームインスペクションを事前に実施していれば住宅にシロアリなどの瑕疵があったのかどうか第三者の目から見た客観的な判断ができたと思いますし、仮にシロアリ被害があるとホームインスペクターの報告書から相談したなら、売主さんの態度も変わったかもしれません。

住宅の購入は一生に何度もない大きな買い物です。購入を希望している中古住宅に瑕疵があるとわかれば買主は補修やリフォームの費用も考慮に入れて検討し直すでしょうし、予算をオーバーしているから購入しないという選択も有り得ます。もちろん購入前にホームインスペクションを実施するには売主さんの同意と協力も不可欠となりますが、欠陥住宅を購入して瑕疵によるトラブルに巻き込まれないためにも、積極的に取り入れていくべきだと思います。

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