既存住宅売買瑕疵保険による中古住宅瑕疵対策について
名古屋で中古住宅を売却したい人向けおすすめリスト10社
  1. 既存住宅売買瑕疵保険で中古住宅瑕疵対策を!

既存住宅売買瑕疵保険で中古住宅瑕疵対策を!

既存住宅売買瑕疵保険とは?

中古住宅の売買を検討している方にとって、絶対に知っておきたいのが「既存住宅売買瑕疵保険」です。これは国土交通大臣の指定する住宅瑕疵担保責任保険法人、すなわち住宅専門の保険会社による任意保険で、検査と保証がセットになっていることが特徴です。

「瑕疵担保責任」があるからわざわざ保険に加入する必要はない、という方もいるかもしれませんが、瑕疵担保責任には新築住宅と中古住宅の間に大きな格差があります。

中古住宅購入前に知っておきたい「瑕疵」と「瑕疵担保責任」」でも書いたように、新築住宅では「品確法」によって構造上主要な部分に対する10年間の瑕疵担保責任が義務付けられていることに加え、住宅瑕疵担保履行法によって売主と請負人には補償を行うための資力確保措置も定められています。一方で中古住宅は売主が個人の場合は瑕疵担保責任が1ヶ月~3ヶ月という短期になったり、免責になることもあります。その上、品確法は中古住宅には適用されません。売主が個人でなく宅建業者であっても、宅建業法に基づき瑕疵担保責任は2年間で終えられてしまう場合が多いのです。

これでは新築住宅に対して中古住宅の購入で瑕疵のリスクがあまりに大きいため、中古住宅購入の不安材料を減らすために2010年から開始されたのが既存住宅売買瑕疵保険です。

既存住宅売買瑕疵保険の加入方法とメリット

保険に加入するには昭和56年以降の新耐震基準に適合していることなど、一定の条件を満たす必要があります。そのため、全ての中古住宅で利用できるとは限らないのですが、保険に加入できれば構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分の瑕疵について住宅の引渡しから最長5年間、最大1000万円まで保証されます。瑕疵発見時には補修費用、調査費用、補修工事中の転居・仮住まい費用が支払われるので、中古住宅購入の強い味方となるのです。

保険加入にあたっては、まず売主が検査機関に中古住宅の検査と保証を依頼します。そして検査機関が対象となる中古住宅の検査を実施し、さらに住宅の引渡し前に保険法人が現場検査を行った上で保険を引き受けます。つまり、既存住宅売買瑕疵保険に加入している中古住宅であれば規定回数の検査をパスした「保険期間中は安心して暮らせる住まいである」と判断されたということになるのです。

これは売主と買主双方にとってメリットがありますよね。保険に加入している住宅なら基本構造について検査済みという安心感が得られることに加え、もし瑕疵が発見されても5年間は補修費用が支払われるので万が一のときにも備えることができます。売主からすれば中古住宅の客観的な性能について買主に示すことができますし、買主も保険に入っているため安心して購入できるのです。

さらに、既存住宅売買瑕疵保険に加入していると最大30万円の「すまい給付金」の他、様々な税制優遇措置:があります。

住宅ローン控除制度
長期譲渡所得課税の特例
住宅取得等資金の非課税制度
登録免許税の軽減
不動産取得税の減額

また、自治体によっては既存住宅売買瑕疵保険に加入すると補助金が支給されたり、融資や利子補給を受けることができます。こうした優遇措置をうまく利用していくことでも住宅購入にかかる費用をかなり抑えられるので、既存住宅売買瑕疵保険の加入を検討して損はありません。

ただし「中古住宅購入にはホームインスペクションを活用しよう」でも触れたように、「ホームインスペクション」と既存住宅売買瑕疵保険の検査内容は似ているようで異なります。既存住宅売買瑕疵保険の検査はあくまで保険が適用される住宅か否かを判断するためのものなので、住宅購入後の費用を考えたり、どのくらい住める家なのかを知りたいのであれば、ホームインスペクションがおすすめです。目的に合った使い分け、併用などを考えていきましょう。

「宅建業者販売タイプ 」と「個人間売買タイプ 」

既存住宅売買瑕疵保険には「宅建業者販売タイプ」と「個人間売買タイプ」があります。最も大きな違いは誰が保険に加入するかで、宅建業者販売タイプでは売主となる宅建業者が、個人間売買タイプでは保証を行う検査機関が保険加入者となります。個人間売買タイプでは売主が個人となるため、最長5年という長期間責任を負わずに済むよう検査機関が間に入っている形です。

いずれのタイプであっても保険に加入するのは宅建業者や検査機関といった事業者であり、住宅の引渡し後に瑕疵が発見された際は事業者に保険金が支払われ、買主は無償で補修してもらえるという流れになっています。事業者が倒産してしまった場合など、補修ができない状況にある際は買主に直接費用が支払われます。

保険は最長5年間、金額は最大で1000万円となっています。しかし保険料を抑えることで保険期間を1年や2年、金額を500万円にしたものも選べるなど、各保険会社によって様々なコースが用意されているので、利用者が適切なものを選ぶ必要があります。

既存住宅売買瑕疵保険にかかる費用と注意点

保険加入にあたっては保険料に加え、現場検査手数料が必要となります。住宅の床面積や構造、保険法人によっても費用は変化しますが、一般的な一戸建て住宅であれば8万円~10万円程度です。

宅建業者販売タイプでは費用は売主である宅建業者が負担してくれますが、個人間売買タイプの場合、誰が費用を負担するのか決まりがありません。売主、買主、仲介業者の当事者間で話し合って決めなければならず、既存住宅売買瑕疵保険の加入を条件に住宅を購入することになった場合、費用の負担を誰かするのかについて明確にしておく必要があります。

そもそも既存住宅売買瑕疵保険は平成22年4月から取り扱いが始まり、5法人が揃ったのは平成23年2月なので、まだできたばかりの制度です。中古マンションでは当初、保険加入の際の検査に共用部分全体と専有部分の検査が求められ、費用が高額になってしまうという問題がありました。そこで平成24年6月からは共用部分の検査を簡略化し、費用を抑えた保険が認可されました。また、個人間売買タイプでは「既存住宅インスペクション講習」を修了した方の検査であれば平成26年1月から1回で済むようになり、費用が抑えられるようになりました。

このように、整備も市場動向に合わせて徐々に進められている段階です。今後さらに変化が起こることも考えられるため、制度の変更や各保険会社の違いを見極めて利用者が自分に適した使い方をしていくことが求められます。

企業独自の保証制度と既存住宅売買瑕疵保険どちらがいい?

既存住宅売買瑕疵保険とは別に、企業が独自に行っている保証制度もあります。

多くは保証期間1年、保証上限額250万円程度で、対象となる中古住宅についても企業によって異なる場合があります。大手企業であれば検査にかかる費用は全て無料になることが多いものの、仲介手数料が発生することには注意が必要です。また、企業独自の保証制度では様々な税制優遇を受けることができません。

こうして考えると費用の負担を誰がするのかといった問題点はあるものの、既存住宅売買瑕疵保険のメリットは大きいです。中古住宅の購入は新築住宅と比べてまだ整備されきっていない部分があることも事実で、法律等でカバーされていない分は購入者が補っていかなければなりません。その意味でも今後の中古住宅購入にあたっては既存住宅売買瑕疵保険はホームインスペクション、瑕疵担保責任とあわせて利用することで中古住宅購入者に安心を提供してくれる大切な制度なので、うまく活用していきたいですね。

必ず「売る」ための戦略のたて方

中古住宅購入ガイド

 
 

ページのトップへ